SUレター

相続事業承継と国際税務のSUパートナーズ税理士法人

その他Vol.1 不動産を購入したときにかかる税金!~どんな税金が待ち構えている!?~

不動産を購入したときにかかる税金!

その他Vol.1

~どんな税金が待ち構えている!?~

 

こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の新宮です。

 

やっとの思いでマイホームを手に入れた、会社が大きくなり自社ビルを持つようになった。という嬉しい話しとは裏腹に予期せぬ出費にビックリ!!

 

さて今週は不動産がテーマのSUレターです。

 

いざ不動産を購入したときにどのような税金が待ち構えているのでしょうか。

 

不動産を購入したときには、印紙税、登録免許税、不動産取得税などの税金がかかります。

 

印紙税とは?

日常なにげなく作成している文書の中に税金が課税されるものがあります。

文書とは、

・不動産を売買する時に作成される売買契約書

・金融機関から借入れをおこすときに作成する金銭消費貸借契約書

などです。

この契約書などに係る税金が印紙税で、作成した文書に収入印紙を貼ることにより納付します。

 

税額は文書の種類と契約書に記載された金額よって決まります。

・契約書に記載された金額が1万円なら200円、1億円なら6万円など、

契約書に記載された金額に応じて印紙税額が変わるもの

・この文書ならいくらというように金額が決まっているもの

があります。

 

印紙を貼らなかったら?

原則は、本来納付すべき印紙税その2倍に相当する額

(合計で本来の印紙税額の3倍)の税金が徴収されます。

なお、納付していなかったことに気付き自主的に納付した場合には、

本来納付すべき印紙税額とその10%に相当する額

(合計で本来の印紙税額の1.1倍)に軽減されます。

 

契約書のコピーにも印紙税はかかる?

かかりません。

ただし、コピーに両当事者が署名・捺印した場合には印紙を貼らなければなりません。

 

登録免許税とは?

不動産を取得したときには、その権利関係を明らかにするために、土地、建物の登記を行います。

この登記をするときにかかる税金が登録免許税です。

 

不動産の購入にかかる登録免許税(原則)

 

・土地(新築中古問わず)なお、土地にはH29.3.31までの軽減措置があります。

・・・固定資産税評価額×20/1000 → 15/1000 (H25.4.1-H29.3.31まで)に軽減

・建物(新築)・・・登記官が決めた価額(※)×4/1000 

・建物(中古)・・・固定資産税評価額×20/1000 

 

※新築建物の場合、なぜ法務局の登記官が決めた価額で計算されるのかといいますと、

新築については固定資産台帳に登録された価格がありません。

そこで法務局が同じ構造の家屋ですでに固定資産台帳に登録された価格のあるものを基に価額を決めることになっているためです。

 

居住用住宅を取得した場合の軽減税率

居住用住宅は登録免許税が軽減されます(床面積50㎡以上など一定要件あり)。

ただし、土地についての登記には軽減税率はありません。

・建物(新築)・・・4/1000 → 1.5/1000に税率が軽減

・建物(中古)・・・20/1000 → 3/1000に税率が軽減

 

いつ納めるのか?

登記を法務局に申請する際に、登記申請書に税額相当分の収入印紙を貼り付けて納めます。

つまり、登記の手続上、法務局に対しては、登記が完了する前に登録免許税を納めなくてはいけないのです。

 

不動産取得税とは?

不動産取得税とは、不動産を取得したときに1回限り課税される税金です。

以下の基本算式となりますが、期間限定の特例や新築、中古で減額される特例がいくつかあります。

 

土地・建物の固定資産税評価額課税標準)×4% = 税額 → 最終的な税額

        ※1             ※2   ※3    

※1 宅地:課税標準を1/2とする特例あり

    住宅:一定要件で控除あり(1,200万円をマイナスするなど)

※2  4%から3%に軽減あり

※3 一定の住宅地については減額措置あり

 

借地権の場合は?

不動産取得税の対象となる土地の取得とは、土地そのものの取得であり、借地権や地上権のような権利の設定や取得は含まれておりません

この場合、家屋についてのみ対象となります。

 

納税方法は?

取得後6か月~1年半くらいの間に各都道府県から届く「納税通知書」にて納付します。

 

 

不動産の購入に税金は付き物ではありますが、

特例などをうまく使って損をしないようにしたいものですね。

 

なお、建物の購入には消費税が上乗せさることもお忘れなく!

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国際税務Vol.1 海外出張・派遣時の税務 ~海外派遣には税務も注意してください~

海外出張・派遣時の税務

国際税務Vol.1

~海外派遣には税務も注意してください~

 

こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の宮崎です。

 

さて、今週は国際税務がテーマになります。

 

あるお客様から、下記のような質問がありました。

海外の子会社に2人従業員を派遣するのですが、税務上注意したほうがいい項目は何でしょうか。

Aさんは、数か月で日本に戻ってきますが、Bさんは2年以上行く予定です。

 

さて、どういった問題があるのでしょうか。

 

結論から言いますと、

Aさんは居住者に該当しますので、出国前と同様、

全世界所得(国内源泉所得+国外源泉所得)に課税されます。

出国時に必要な手続きはありません。

 

Bさんは非居住者に該当しますので、出国後は日本の国内源泉所得のみについて課税されます。

また、出国時に税法上の非居住者に該当しますので、

出国時までに年末調整をする必要があります。

 

居住者・非居住者とは

従業員の海外赴任に際しては、税法上、居住者・非居住者の区分が大変重要になります。

その理由は、派遣される従業員が居住者か非居住者かによって、

日本で課税される所得の範囲や課税方法が異なるからです。

 

税法上、

・居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する者

とされています。また、

・非居住者とは、居住者以外の者

とされています。

 

海外赴任の場合、海外赴任期間が1年以上の予定の者は、出国時に非居住者とされます。

逆に海外赴任期間が1年未満の予定の者は、居住者とされます。

また、当初の海外赴任期間が1年未満だった者も、

赴任中に1年を超えることが判明した場合は、その時点から非居住者となります。

 

課税所得の範囲は?

居住者は、全世界所得(国内源泉所得+国外源泉所得)について課税されますので、

出国前も出国後も日本の税金についての取扱いは変わりません。

非居住者は、日本の国内源泉所得についてのみ課税されますので、

出国後から取扱いが変わります

 

出国時の年末調整

海外赴任期間が1年以上の場合、出国時に税法上の非居住者に該当しますので、

非居住者になった以後は、国内源泉所得がなければ日本の税金は課されません。

そのため、出国前に日本で給与収入を得ていた場合には、

出国時に日本の税金を精算する必要があります。

この精算の手続きは毎年12月に行われる年末調整と同様です。

 

出国時の年末調整の手続き

上記の通り、基本的には通常の年末調整と同様の手続きになりますが、

所得控除の範囲が、出国時の現況により判断することになりますので、

下記の手続きが必要となります。

①      給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者控除申告書を提出します。

・・・保険料については出国時までに支払った金額を記入します。

また、配偶者控除の範囲は出国時の現況によります。

②      年初に提出した給与所得者の扶養控除等申告書に異動がないか確認します。

・・・扶養控除の範囲は出国時の現況によります。 

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相続・事業承継Vol.1 相続税だけでなく所得税も?~出国税(相続人に非居住者がいる場合は要注意!)~

相続税だけでなく所得税も?

相続・事業承継Vol.1

~出国税(相続人に非居住者がいる場合は要注意!)~

こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の乾です。

 

なんと最近弊社に米国の大学を卒業した人が入社しました!

もちろん英語はペラペラです。うらやましい限りです。語学に技術を身に付ければ仕事の幅が広がりますね

 

さて今週は国際相続がテーマのSUレターです。

 

ご存知の方も多いと思いますが、昨年(平成27年)の7月に国外転出時課税という制度が出来ました。いわゆる国税といわれるものです。

 

国税とは

どのような人が対象になるのかというと、国外転出時に有価証券等匿名組合契約の出資持分も含まれます)を1億円以上保有し、かつ、国外転出をする日前10年以内に日本に居住していた期間が5年超である人です(以下「対象者」といいます)。

 

対象者が日本から転出される際に、保有している有価証券の未実現利益に所得税を課税するという制度です。

日本はひどい制度を作る国だと思うかもしれませんが、実は多くの先進国(米国、仏国、英国など)が既に導入しています。

 

相続税・贈与税に関連する?

国税という名称から日本から国外へ移住する方の所得税のみが対象との印象を受けますが、この制度は相続や贈与の時にも関わってきます。

対象者が亡くなった時に、相続人の中に既に海外に居住している非居住者がいた場合などです。

 

有価証券等を非居住者が相続することになれば、その後非居住者が売却した際の売却益に日本の所得税を課税できなくなるため国外転出時課税の対象とされているのです。

このようなケースは結構あり得るのではないでしょうか。

 

例えば、

被相続人の方が非上場の会社の経営者でかなり成功し、株価は1億円を超えていた。しかし事業承継を行う前に突然お亡くなりになった。

その時息子はアメリカで働いていた、なんてことや会社を上場させ含み益が多額にあり、

いつか相続対策をしようと考えていたが、そのままお亡くなりになってしまった。

その相続人のうち1人が海外にいる、なんてこともありえます。

 

問題点は?

もめずに日本の居住者が取得すれば問題はないですが、もめるのが普通です。

遺産分割協議は相続税の申告期限までに、というのが今までの一般的な認識でした。

 

しかし、亡くなった方が出国税の対象者であり、かつ、相続人に非居住者がいる場合には、相続税の申告よりも前、被相続人の準確定申告までに遺産分割の意思決定をせざるを得ないケースが出てくることになりそうです。

 

相続発生後4か月以内に被相続人の準確定申告を行わなければなりません。

そこまでに分割協議が行われていなければ、有価証券等は共有財産であるため法定相続分で有価証券等を取得したとみなして、非居住者についてはその有価証券の相続分が出国税の対象となり譲渡所得税を納付しなければなりません

 

もちろん被相続人の資金は凍結されています。自己資金から納付するか納税猶予(担保を提供する必要あり)手続きをするか迫られます。

 

その後分割協議で非居住者の取得分が増えれば、確定した時点から4か月以内に修正申告を行い、減れば更正の請求ができるようになりました(平成28年度改正)。

 

遺族の気持ちも無視して、4か月以内に意思決定をせまるのはあまりにもひどく、せめて相続税と同じ10か月の猶予を与えるべきではないでしょうか?

 

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