SUレター

相続事業承継と国際税務のSUパートナーズ税理士法人

国際税務Vol.16 トランプの米国税制改正

トランプの米国税制改正

 国際税務Vol.16

 

SUパートナーズ税理士法人 阿部です。

トランプ大統領の下で劇的な税制改正が行われようとしています。

世界一高い法人税率の国が、

世界で最も法人税率の低い国になろうとしているのですから。

驚きの一言に尽きます。

 

2017年9月、トランプ大統領の下、政府と議会共和党は、

「崩壊した税法を改正するための統一的枠組み」を公表しました。

その内容は、法人税率を20%以下に引き下げ州税を入れても

24%台の低税率国に変身しようとするものです。

 

米国の法人税といえば、1986年のレーガン税制の抜本改革により、

高い税率(39%)、全世界課税方式、

VAT等の付加価値税はなしという路線が維持されてきました。

それが、ここにきて大方針転換を図ったのです。

 

減税の景気効果によりどの位税収増が実現されるのか不明なところもありますが、

米国経済の活性化のため、

180度方針転換が図られ、これまでの世界一高い法人税率を維持する国家から、

アイルランド並みの低税率国家へと変身してゆくのです。

 

日本でこのような税制の大改革が行われたことがあるのかと翻って見れば、

戦後の敗戦のなか、

外圧により実施されたシャウプ勧告にもとづく税制大改革位ではないでしょうか。

米国大統領の持つ権限・リーダーシップと、

日本の政治体制の違いをまざまざと見る思いがしています。

また、トランプ大統領個人の問題はここではさておき、

失敗を恐れぬ勇気と決断力には驚きを禁じえません。

 

この改正では、これまで米国企業はどこで事業活動をしようと

全世界所得に対して課税するという原則の守護神のような国でしたが、

ケイマン、バミューダ等の軽課税国にある海外子会社に留保された資金が

2015年に累積で2.6兆ドル(訳260兆円)なったことを踏まえ、

海外子会社からの配当金を非課税にして、資金の還流を推進する税制改正を導入し、

ついに全世界所得課税の国という看板を下ろし、領土主義課税国に仲間に入ろうとしています。

 

今から、約30年前国際課税の勉強を始めたころ、

先進国の課税制度は全世界所得課税で、開発途上国は領土主義課税というのが常識だった頃と比べて隔世の感があります。

小国にかかわらず大国であっても、生き残りをかけて、

大胆な税制改正を実施しなければならない競争の激しい経済環境にある

といえるのではないでしょうか。

日本の閉塞感の中、それを吹き飛ばすような、

中小企業を元気にさせるような税制改正を大胆に実施して欲しいものです。

f:id:supt:20171228183516j:plain

相続・事業承継Vol.16 医療法人の出資持分

医療法人の出資持分

相続・事業承継Vol.16

 

こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の乾です。

時間がたつのは早いもので、もう2月ですね。

税理士業界は繁忙期まっただ中でございます。

12月決算の法人の申告と中旬以降は個人の所得税確定申告

と次から次へと仕事が来る目まぐるしい日々です。

 

この時期はキッチンにお菓子をたーーくさん置きます。

私も従業員さんも残業が多くストレスもたまるのでお菓子をちょこちょこ食べて、

糖分を取って仕事を頑張るという感じです。

太っていたらそういうことか・・・と、そっとしておいてください!

 

さて、それでは今週のSUレターです。

 

非上場株式の話をすることも多いのですが、最近お医者さんのご相談も多いです。

もっともな話です。お医者さんも事業承継の時期に来ているのですね。

 

今月は医療法人の出資についてです。

 

医療法人とは

医療法人は会社法の法人とは異なり、医療法により設立された法人です。

 

社団医療法人には、持分ありと持分なしがありますが、

現在は持分なしの法人しか作ることができません

 

医療法人の相続での相続財産は…

相続、事業承継で問題となるのは持分のある社団医療法人です。

持分ありの社団医療法人の院長(出資者)に相続が発生した場合、

相続人が取得する財産は、持分払戻請求権なのか、出資持分なのか

どちらなのでしょう?

この二つに違いがあるのか?と言うと、違いはあります

 

払戻請求権の評価方法は…

払戻請求権である場合には、

相続時点における1株あたりの純資産価額で評価されるものと考えられます。

そして、持分の払戻額に対して、所得税法に定めるみなし配当があったものとして、

その配当所得に対する所得税源泉徴収がされる場合には、

1株当たりの純資産価額から源泉所得税額を控除した後の金額

によって評価されることになります。

ちょっとややこしいことを書きましたが、

要は相続開始時点で精算できる金額というイメージです。

 

出資持分の評価方法は…

一方、出資持分となれば、取引相場のない株式に準じて計算することになります。

詳しくは2ヶ月前のブログをご覧ください。http://supt.hatenablog.com/entry/2017/12/05/083000


 

なお、

払戻請求権=純資産価額評価額>出資持分=取引相場のない株式に準じた評価額

となることが多いといえます。

 

 

 原則は持分払戻請求権となるが…

では医療法人は、どちらなのかというと・・・

原則的には、死亡により退社した場合、モデル定款では、死亡時点で

「社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる」

となっており、相続人は持分払戻請求権を取得したことになる。

 

一定の場合には出資持分となる!

 しかし

相続後に相続人が定款に基づく社員総会において社員と承認され、

持分払戻請求権を行使せず名義変更をした場合には、

出資持分を相続したものと解されます。

つまり、取引相場の無い株式に準じて計算されます。

 

 

 

出資持分の場合の評価の特殊性について

 ただし、医療法人については少し計算方法に注意が必要です。

医療法人は会社法の株式会社などと異なり、

医療法の規定によって剰余金の配当が禁止されています

 

ちなみに配当に類似する下記のような行為を社員(出資者)と行うことは

適切ではないとされています。

1 近隣の相場とかけ離れた賃料での不動産賃貸契約

2 病院等の収入に応じた定率的な賃料契約

3 役員への不当な利益の供与

4 個人又は関係する法人への寄付

 

そのため類似業種比準価額の計算において、配当を考慮しない算式となります。

(1) 180≪類似業種比準価額≫に定める算式

      f:id:supt:20170928174503p:plain
 ただし、上記算式中の「0.7」は、178≪取引相場のない株式の評価上の区分≫に定める中会社に相当する医療法人に対する出資を評価する場合には「0.6」、同項に定める小会社に相当する医療法人に対する出資を評価する場合には「0.5」とする。

 

上記の算式の通り、「利益金額(CやⒸ)」と「純資産価額(DやⒹ)」の2つによって株価が決まります

平成29年税制改正により「利益金額」と「純資産価額」の影響度合いは、

1対1となったため、利益の圧縮による株価対策は、以前よりは効かなくなりました

 

その他留意点としては、取引相場のない株式の評価方法のような配当還元方式はありません

 

この出資持分の評価=評価額を低く抑えられる可能性のある評価

となる根拠資料として、

・医療法人の定款

・相続人が入社を承認された社員総会の議事録

・遺産分割協議書(遺言書)

を、きちんと用意しておかなければ、あとから税務署に

「これは出資持分ではなく持分払戻請求権だ!純資産価額評価だ!」

との指摘を受けて、相続財産が増える可能性もありますよね。

 f:id:supt:20171005112553j:plain

その他Vol.15 減価償却費と特例2 ~高額資産の取り扱い~

減価償却費と特例2

~高額資産の取り扱い~

その他Vol.15

 

こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の木下です。

今週も、減価償却がテーマのSUレターです。

 

前回の減価償却費と特例では、少額資産の特別な償却方法をご紹介致しました。

 

supt.hatenablog.com

 

 

今回は、高額資産についての様々な特別償却税額控除について、

対象設備や要件を簡単にご紹介していきたいと思います。

 

特別償却と税額控除

まずは、特別償却(即時償却)と税額控除の違いについて、

1000万円の建物を取得して、30%の特別償却と7%の税額控除を選択できる場合を例に見ていきましょう。

 

特別償却では、

取得した1年目に通常の減価償却費の他

1000万円×30%=300万円の減価償却を計上することができます。

そのため税率を34%とすると、300万円×34%=102万円税金が安くなります。

 

これに対して、税額控除では、取得した1年目に通常の減価償却費の他

1000万円×7%=70万円税金を安くすることができます。

 

選択適用の有利不利

上記の例ですと、特別償却の方が1年目の税金が安くなり、

有利に見えますが、そうとは限りません。

特別償却はあくまで、将来の減価償却費を先取りしているだけです。

そのため、当期に減価償却費(費用)を多く計上している分、

将来の減価償却費(費用)は少なくなる→将来の税金が多くなることになります。

これを課税の繰延べといいます。

 

これに対して、税額控除では、本来計上できる減価償却費とは別枠で、

税額を控除することができます。

そのため、将来の税金も含めて考えると、

基本的に特別償却より税額控除の方が有利になります。

 

以上を踏まえて、様々な特例を見ていきたいと思います。

 

中小企業経営強化税制

青色申告の中小企業者等が一定の要件を満たし、経営強化のために設備を取得し、

指定事業の用に供した場合、

取得価額を即時償却or取得価額の※10%税額控除を受けることができます。

※資本金3,000万円以下の場合。3,000万円を超えると7%税額控除。

 

○対象設備や要件は、生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)で異なります。

 

生産性向上設備(A類型)

○対象設備は、

・機械装置で1台160万円以上

・測定工具及び検査工具で1台30万円以上

・器具備品(一定の電子計算機・医療機器を除く)で1台30万円以上

・建物付属設備(医療保険業の一定のものを除く)で一つ60万円以上

・ソフトウェア(情報収集機能、分析・指示機能を有するもの。

ただし、一定のものを除く)で一つ70万円以上

 

○要件としては、

・一定期間内のモデルであり、生産性が旧モデル比年平均1%向上する設備である

証明書を工業会等から取得すること

・証明を受けた設備による経営力向上計画を主務大臣に申請し、

認定を受ける必要があります。

 

 

収益力強化設備(B類型)

○対象設備は、

・機械装置で1台160万円以上

・工具で1台30万円以上

・器具備品(A類型と同じ)で1台30万円以上

・建物付属設備(A類型と同じ)で一つ60万円以上

・ソフトウェア(一定のものを除く)で一つ70万円以上

 

○要件としては、

・年平均の投資利益率が5%以上と見込まれる設備であることについて、

経済産業局から確認書を取得すること。

・その設備による経営力向上計画を主務大臣に申請し、認定を受ける必要があります。

 

パンフレット

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2017/170407zeiseikinyu.pdf

 

 

商業・サービス業活性化税制

青色申告の中小企業者等が一定の要件を満たし、経営改善設備を取得し、

指定事業の用に供した場合、

取得価額の30%特別償却or取得価額の※7%税額控除を受けることができます。

 ※資本金3000万円以下の場合。3000万円を超えると税額控除はできない。

 

○対象設備は、

・器具備品(ショーケース、看板、レジスターなど)1台30万円以上のもの。

・建物付属設備(空調施設、昇降機設備、電気設備、店舗内装など)

1台60万円以上のものとなります。

 

○要件としては、経営改善指導等を行う機関から経営改善指導等を受けた旨

を明らかにする書類の交付を受けて、その書類に基づき、

上記の対象設備を取得する必要があります。

なお、経営改善指導等を行う機関は商工会議所や認定経営革新等支援機関などが該当します。

 

パンフレット

http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2015/150401zeisei1.pdf

 

中小企業投資促進税制 

青色申告の中小企業者等が一定の設備を取得して、指定事業の用に供した場合、

取得価額の30%特別償却or取得価額の※7%税額控除を受けることができます。

 

○対象設備は、

・機械装置で1台160万円以上のもの。

・測定工具及び検査工具で1台120万円以上のもの

(1台30万円以上で複数の合計が120万円以上でも可能)

・ソフトウェア(一定のものを除く。)で一つ70万円以上のもの(複数の合計が70万円以上でも可能。)

貨物自動車(車両総重量3.5トン以上)や内航船舶(取得価格の75%が対象)

 

特に計画の認定を受ける必要はないので、他の規定に比べると、かなり適用を受けやすくなっております。

 

パンフレット

http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2014/140401uwanose.pdf

 

規定のまとめ

規定によって、対象となる設備は異なりますので、下記図を参考頂ければ幸いです。

f:id:supt:20171005121819p:plain

その他の規定

今回ご紹介した規定以外にも、

地域固有の強みを活かした設備投資に対する地域未来投資促進税制

エネルギー環境負荷低減を推進する設備投資に対する環境関連投資促進税制など、

様々ありますので、高額資産の取得を検討されておりましたら、

特例の適用ができないか考えてみてはいかがでしょうか。f:id:supt:20171005122750j:plain

国際税務Vol.15 中国に出向者を派遣する前に ~PE問題でつまずかないために~

中国に出向者を派遣する前に   

~PE問題でつまずかないために~

国際税務Vol.15

 

 

こんにちは。

 

国際税務を担当していると、

PE(Permanent Establishment)の問題に直面

することがあります。

特に中国との租税条約は独特な内容のため、

他の国では見られないような苦境に陥ることもあります。

 

さて今週は中国のPE問題がテーマのSUレターです。

 

PEとは

近くて遠い国中国。

日本人のビジネス感覚とは異なる場合もいろいろとあり、

中国と取引を行う場合は細心の注意が必要です。

 

近年PE(Permanent Establishment - 恒久的施設)認定の手法を使うことにより、

中国の課税権を拡大する事例が多くあります。

PEとは、事業を行うために設けた一定の施設もしくはそれに準じるものをいいます。

具体的には、支店、事務所、工場等です

中国の非居住者企業が稼得する所得については中国国内にPEがあり、

かつその所得がPEに帰属するものである場合に、

中国はその所得に対する課税権を持つことになります。

 

中国のPE問題で厄介なのは、

PEの範囲に「コンサルティング役務の提供」が含まれることです。

 

日本企業が中国に人員を派遣し、

技術支援サービス等のコンサルティング役務の提供を行う場合、

その期間が12ヶ月のうち6ヶ月を超える場合には、

中国におけるPEと認定されるのです。

(この6ヶ月というのは一単位のプロジェクトだけを基準とするほか、

複数の関連プロジェクトを全体として認識される場合もあるので注意が必要です。)

 

日本企業は単に出向として送り出したつもりでも、

中国側でPEと認定されると個人所得税の他に企業所得税

営業税といった本来出向とは無関係のはずの税金まで課税されることになります。

 

対策としては?

ではこのようなPE認定を避けるためにはどのような対策を講じたらいいでしょうか。

国税務当局が発行した通達によると「PEを構成しない場合」として、

①子会社の要請による子会社のための人員派遣であること

②その出向者が子会社に雇用されていること

③子会社がその出向者の業務に対して指揮権を有すること

④その出向者の業務への責任及びリスクが子会社により負担されていること

といった要素を挙げています

 

逆に言うと、出向元親会社が出国者に対し指揮権を有し、

関連するリスク及び責任を負担し、

その給与を負担している場合にはPEとして認定される可能性が高くなります。

 

したがって、中国に出向者を派遣する際は事前に入念な出向契約書を作成して

当局からの追及に対応できるようにしておく必要があります。

 

PE問題以外にも…

PE問題だけに限らず、中国には様々な通達が存在し、

その解釈も曖昧で現場の担当官の裁量によるものも多いため、

時には不当な課税を強いられるケースも存在します。

中国においてビジネスを行う場合には専門家を交えての入念な準備が必須となります。f:id:supt:20171005114015j:plain

相続・事業承継Vol.15 株価が3種類もある!?~パート2~

株価が3種類もある!?~パート2~

相続・事業承継Vol.15

 

こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の乾で

す。

 

 

先月は自社の株価の計算方法について書きましたが、

よくわからなかったという方も多かったと思います。

 

税理士でも簡単とは思えないのですから当然です。

「株価はいくつかの計算方法があるのだなぁ」

とだけでも理解しておくだけでも良いと思います。

細かいことは税理士がやります。

 

そして、「株価は自由には選べません!」

・・・が、ある程度コントロールができる面もあります。
相続や事業承継のお悩みの方は、

ぜひ弊社へご相談いただければ検討させていただきます。

 

さて今月お伝えしたいのは

「非上場会社の株価は取引の状況により3つある」

ということです。

「え~!!!計算方法が複数ある上に更に3つもあるだって!」

という声が聞こえてきそうです。

 

株式を動かす方法の3パターン

株式を動かす方法には、

①譲渡②相続・贈与

の2種類がありますよね。

さらに①譲渡には、相手が個人の場合もあれば法人の場合もあります。

つまり、

①譲渡(個人との取引の場合)

②譲渡(法人との取引の場合)

③相続・贈与

3パターンの取引があるのです。

※本ブログでは理解を優先し詳細なパターンは省略いたします。

 

「だからといって、誰と取引したって株価が同じでないと税務上問題になるのでは?

会社の顧問の税理士さんに、

いつも関係者であっても第三者と同じ金額で取引しないと

寄付金等の課税の問題が起こると言われるよ?

 

税金の種類が違う

おっしゃる通りです。

同じ資産は誰と取引しても同じ価格にしなければいけない

と考えるのが(税金上は)正しいのです。

 

しかし、3パターンをもう一度良く見てください。

取引を想定してみましょう。

個人個人へ売却して利益を得た。

個人法人へ株式を売却した。

から子供に株式を贈与した。

どうでしょうか?何か気付きましたでしょうか?

 

①は個人のもうけに対する所得税の世界

②は買った法人に対する法人税の世界

(詳細には個人側の所得税もありますが、複雑になるため省略いたします)

③個人間の無償による財産の移転、つまり相続贈与の世界

 

という3つの違った税金の世界があるということです。

 

みなさんご存じのように、

所得税は個人のもうけに対する税金、

法人税は法人のもうけに対する税金、

相続税(贈与税)は個人間の無償の財産の移転(取得)に対する税金

です。

これら3つの税金は全て独自のルールとなっているイメージです。

だから価格は違って当然なのです。

 

税金の種類によって、株価が変わる

さあ、それではどのような株価となるのでしょうか?

(税理士向けのブログではないため大まかな理解を優先し、詳細を省きます)

 

個人→個人の譲渡

①については、所得税に明確な規定はないので、いくらでも良いのですが、

実務的には相続税(財産評価基本通達)の世界の方法により計算されることが多いです。

つまり、これより安くても高くてもどちらかの個人が利益を受けるので、

贈与があったとみなされる恐れがあります。

※計算方法については、前月のブログを参照してください。

 

個人→法人の譲渡

②については、法人税(基本通達)の世界の方法により計算されます。

この方式によると相続税の世界の方法よりもかなり高めになることが多いです。

 

(参考)法人税法基本通達9-1-14(概要)
課税上の弊害が無い限り、

相続税の財産評価基本通達に下記3つの調整をして株価を算出します。

1.小会社方式を使う。

2.評価する法人が保有する土地と有価証券を時価評価する。

3.純資産価額の計算に当たり、評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除しない

 

個人→個人の贈与等

③については、もちろん相続税(財産評価基本通達)の世界の方法により計算されます。

 

純粋な第三者同士の場合は?

当たり前ですが、純粋な第三者同士(この言葉もかなりシビアにとらえます。

ここでは省略)の取引であれば、上記3つ以外の経済合理性に基づく価格となります。

 

もうみなさんお腹いっぱいだと思いますのでここまでにしたいと思います。

非上場株式はとても深いです。

もっと詳細があります。

くれぐれも税理士に相談せず株式の移動を実行することが無いようお願いいたします。f:id:supt:20171005112520j:plain

その他Vol.14 減価償却費と特例 ~少額資産の取り扱い~

減価償却費と特例

~少額資産の取り扱い~

 その他トピックスVol.14

 

こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の木下です。

 

 

いつもご愛読いただき、誠にありがとうございます。

今年最後のSUレターとなりました。

1年過ぎるのは本当に早いですね!

 

さて、今週のテーマは減価償却についてです。

 

建物や電気設備、エアコン、パソコン、椅子など、

時の経過等により価値が減っていくものを減価償却資産といいます。

 

この減価償却資産は購入時に経費(費用)とすることができるでしょうか?

確認していきたいと思います。

 

原則的取扱い

減価償却資産を取得した場合、取得価額をそのまま費用にすることはできません。

一度固定資産に計上し、その使用する期間(耐用年数)にわたって各年に費用を按分する必要があります。これを減価償却と言います。

 

例えば、12万円のパソコンを購入した場合を見てみましょう。

パソコンの耐用年数は4年ですので、1年間に費用となるのは、

12万円÷4年=※3万円となります。

つまり取得価額が全て費用になるのに4年かかるという事です。

※定額法(毎年同じ費用を計上する方法)の場合。その他に定率法(耐用年数の前半に、費用を大きく計上する方法)などがあります。

 

耐用年数は国税庁のホームページで確認できます。

https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34353.php

 

 ここからは、減価償却の特例です。

少額減価償却資産は即時償却

取得価額が10万円未満のものや使用可能な期間が1年未満のものについては、

取得した年に取得金額を全て費用にすること(即時償却)ができます。

 

一括償却資産は3年間で按分

10万円以上のものでも、20万円未満のものについては、

一括償却資産として、3年間で費用にすることができます。

 上記のパソコンの例だと、1年間に費用となるのは、12万円÷3年=4万円で、

原則による減価償却よりも費用を大きく計上できます。

 

廃棄時等には不利になる

一括償却資産は、廃棄や売却したとしても、

3年間にわたって費用にする必要があります。

上記のパソコンを2年目で廃棄した場合を見てみましょう。

原則による減価償却ですと、

2年目で費用化していない9万円(=12万円-3万円)を全て費用とすることができます。

しかし、一括償却資産の場合、2年目にも4万円、3年目にも4万円と、

たとえ廃棄等していても廃棄等がないものとして費用に計上していくことになります。

 

中小企業者等は30万円未満で即時償却

青色申告をしている※中小企業者等については、

取得価額が30万円未満のものを購入した年に即時償却することができます。

 

ただし、年間として取得価額の合計が300万円までとなります。

たとえば、28万円のパソコンを11個購入した場合、10個までは即時償却できますが、

11個目は300万円を超えるため、即時償却できません。

 

※中小企業者等とは、

資本金が一億円以下の法人で常時使用する従業員の数が1,000人以下のもの。

ただし、資本金が1億円超の法人に支配されている場合などには該当しません。

個人事業主の場合は、常時使用する従業員の数が1,000人以下のものが中小企業者となります。

 

 

中小企業者等の特例と一括償却資産

さて、ここで問題となるのが、

上記の中小企業者等が10万円以上20万円未満の減価償却資産を取得した場合です。

20万円未満なので一括償却資産として3年償却できますし、

30万円未満でもあるので即時償却もできます。

選択できるのなら、即時償却した方が有利なように思われますが、

実はそうとは限りません。

 

年間300万円を超える場合

中小企業者等の規定は、年間300万円しか即時償却できません。

したがって、大量に資産を購入した場合には、

20万円超30万円未満の資産を優先して即時償却し、

10万円超20万円未満の資産は一括償却資産を選択した方が有利となります。

 

償却資産税について

償却資産税についても考える必要があります。

建物や土地なら固定資産税が、車両なら自動車税がかかります。

それと同じく、機械や構築物、器具備品などについては償却資産税がかかります。

課税標準額年間1.4%の税額となります。

 

パソコンなどを購入すると償却資産税がかかるのが原則ですが、

10万円未満で即時償却をしたものや一括償却資産を選択したものについては、

償却資産税の対象外となります。

一方、30万円未満の即時償却を選択した場合、償却資産税はかかります。

一括償却資産ですと、費用化に3年かかるが、償却資産税がかからないのです。

 

なお、課税標準額の合計が150万円を超えない限りは、

償却資産税は免税となります。

あまり資産を取得されない方は、償却資産税を考慮する必要はありません。

 

取得単位について

10万円未満などの判定は、通常1単位として取引される単位ごととなります。

例えば、応接セットの場合、通常はテーブルと椅子が1組で取引されますの

で、

1組で10万円未満かどうかの判定となります。

 

事業の用に供する必要あり

様々な費用処理の仕方をお伝えしましたが、

上記の規定は取得した年に事業の用に供する必要があります。

そのため、使わない資産をたくさん取得したとしても、

節税対策にはなりませんのでご注意ください。

f:id:supt:20171005121706j:plain

国際税務Vol.14 不動産の売主が非居住者だったら?

不動産の売主が非居住者だったら?   

源泉徴収義務!?~

国際税務Vol.14

 

こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の宮崎です。

 

 オリンピックが近づいてきて、不動産価格も上昇しているみたいですね。

平成29年の路線価では銀座の土地がバブル時代の価額を超えたようです。

 

そのような中で、現在は、外国人の方が日本の不動産を購入する動きも活発です。

また、オリンピックが近いため、逆に不動産価額は上がらないと見ている外国人の方は、

不動産を売却して利益を確定する動きも出てきているようです。

 

日本居住者が、不動産を購入した場合、

日本居住者同士の売買であれば税務上の問題はそこまでありませんが、

売主が非居住者だった場合は、税務上の注意が必要になります。

 

それは、買主に源泉徴収義務があるということです。源泉徴収税率は10.21%です。

 

この点、以前のSUレターVol.13でも紹介させていただきましたが、

詳しい内容を教えてほしいとの声がありましたので、

今回は詳細に説明させていただきます。

 

例えば、

居住者Aさんが、非居住者Bさんから日本の不動産を1億円で購入したとします。

その場合、Aさんは、非居住者Bさんに源泉所得税1021万円を差し引いて

税務署に納付しなければなりません

Aさんが非居住者Bさんに支払う売買代金は、

1021万円を差し引いた8979万円になります。

そうです。1億円をBさんに支払ってはいけないのです。

 

なぜ、このような制度になっているのでしょうか。

もともと、非居住者が、日本の不動産を売却して利益を得た場合、

売却益に対して申告の上、税金を納付する義務があります。

その税金は、非居住者が個人の場合は所得税、法人の場合は法人税です。

しかし、非居住者が日本で申告納付せずに、

海外へ売り逃げしてしまう事例が頻発したため、

平成2年に源泉徴収制度を導入しました。

これにより、源泉徴収義務は買主である居住者になるため、

非居住者が売り逃げしてしまっても、

税務署は日本の居住者から税金を徴収すればいいというわけです。

 

そこで疑問ですが、

相手が非居住者か分からない場合もあり得ます。

その場合でも源泉徴収義務が居住者にあります

それは、裁判例もあります。

平成23年3月4日東京地裁では、相手が非居住者か分からなかった事例が争われました。

この事例では、相手が非居住者かはよく確認すれば容易に分かるはずだ、

という判決が下されました。相手が非居住者か否かは、

例えば、

・売買契約書

・不動産登記事項証明書

・印鑑登録証明書等

・本人への直接確認

により、「容易」に分かるというものです。

 

「容易」には分からないこともたくさんあると思いますが、

確認義務を買主に転嫁して税金の徴収漏れだけは防ごうという恐ろしい制度だと思いました。

皆さんも不動産の買主の素性には気を付けてくださいね。

f:id:supt:20171005113249j:plain