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その他Vol.16仮想通貨に関する所得の計算方法等

仮想通貨に関する所得の計算方法等

その他Vol.16

 

こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の溝口です。

今週は仮想通貨がテーマのSUレターです。

 

ビットコインなどの仮想通貨を売却又は使用することにより生じた損益の取扱いはどうなっているのでしょうか。

今回は確定申告の対象となる仮想通貨の損益や計算方法等を確認したいと思います。

 

仮想通貨に関する所得の所得区分

ビットコインをはじめとする仮想通貨を売却または使用することによる損益は、

事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、

原則として、雑所得に区分されます。

事業所得者が、事業用資産としてビットコイン保有し、

決済手段として使用している場合などは、その使用により生じた損益については、

事業に付随して生じた所得と考えられますので、その所得区分は事業所得となります。

 

仮想通貨の売却

保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、

その売却価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

 

(例)

3月9日 2,000,000円(手数料含む)で4ビットコインを購入。

5月20日 0.2ビットコイン(手数料含む)を110,000円で売却。

(答)

①売却価額 110,000円

②取得価額 (2,000,000円÷4BTC)×0.2BTC=100,000円

③所得金額 ①-②=10,000円

 

仮想通貨での商品の購入

保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、

その使用時点での商品価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

(例)

3月9日 2,000,000円(手数料含む)で4ビットコインを購入。

9月28日 155,000円の商品購入(税込)に 0.3 ビットコイン(手数料を含む)を支払。

(答)

①商品価額 155,000円

②取得価額 (2,000,000円÷4BTC)×0.3BTC=150,000円

③所得金額 ①-②=5,000円

 

仮想通貨と仮想通貨の交換

保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、

その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価額)と保有する仮想通貨の取得価額

との差額が、所得金額となります。

(例)

3月9日 2,000,000円(手数料含む)で4ビットコインを購入。

11月2日 他の仮想通貨購入(時価600,000円)の決済に1ビットコイン(手数料を含む)を使用。

(答)

①購入価額 600,000円

②取得価額 (2,000,000円÷4BTC)×1BTC=500,000円

③所得金額 ①-②=100,000円

 

仮想通貨の取得価額

同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合の当該仮想通貨の取得価額の算定方法としては、移動平均法を用いるのが相当です。

ただし、継続して適用することを要件に、総平均法を用いても差し支えありません。(例)

3月9日 2,000,000円(手数料含む)で4ビットコインを購入。

5月20日 0.2ビットコイン(手数料含む)を110,000円で売却。

9月28日 155,000円の商品購入(税込)に 0.3 ビットコイン(手数料を含む)を支払。

11月2日 他の仮想通貨購入(時価600,000円)の決済に1ビットコイン(手数料を含む)を使用。

11月30日 1,6000,000円(手数料含む)で2ビットコインを購入。

 

 *移動平均法を用いた場合の1ビットコイン当たりの取得価額

(答)

①3月9日に取得した分の1ビットコイン当たりの取得価額

2,000,000 円÷4BTC=500,000 円/BTC

~3月10日から11月30日までの間に1.5BTCを売却又は使用~

②11月30日の購入直前において保有しているビットコインの簿価

500,000円 ×(4BTC-1.5BTC)=1,250,000 円

③11月30日の購入直後における1ビットコイン当たりの取得価額

(1,250,000円+1,600,000円)÷(2.5BTC+2BTC)=633,334円

※ 取得価額の計算上発生する1円未満の端数は、切り上げして差し支えありません。

 

*総平均法を用いた場合の1ビットコイン当たりの取得価額

(答)(2,000,000円+1,600,000円)÷(4BTC+2BTC)=600,000 円/BTC

     

おわりに

仮想通貨に関する損益は仮想通貨の売却だけでなく、

仮想通貨での商品の購入や別の仮想通貨との交換でも生じます。

 

申告を行うためにはすべての取引をまとめる必要があり、

取引を頻繁に行っている場合は計算が煩雑になります。

また他の仮想通貨との交換等で利益が生じた場合には、

仮想通貨として資産をお持ちでも納税のための現金は手元にありませんので、

事前に納税資金相当の現金を確保しておく必要があるのではないでしょうか。

 

参考:国税庁「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdff:id:supt:20180205173341j:plain