SUレター

相続事業承継と国際税務のSUパートナーズ税理士法人

国際税務Vol.7 海外出向者に支払う留守宅手当の税務 ~日本の扶養家族に支払う留守宅手当の取扱い~

海外出向者に支払う留守宅手当の税務  

国際税務Vol.7

~日本の扶養家族に支払う留守宅手当の取扱い~

 

こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の宮崎です。

 

さて、今週は国際税務がテーマになります。

 

あるお客様から、下記のような質問がありました。

海外の子会社に従業員を5年ほど派遣する予定だが、

会社の規定で留守宅手当を支払うことになっている。この留守宅手当とは何ですか?

また、留守宅手当を支給した場合の税務を教えてください。」

 

さて、留守宅手当とは何でしょうか。また、税務の取扱いはどうなるのでしょうか。

 

留守宅手当とは、

留守宅手当は、「海外単身赴任手当」や「海外別居手当」、「残留家族特別加算」などの様々な名目で支払われることがあり、「国内社会保険料相当分」「国内残留家族生活費相当分」のいずれか、又は両方の意味合いで支払われます。

 

なぜ留守宅手当を支払うのか

では、留守宅手当が、どのような考えに基づいて設定され、

支給されているのか又それらの支給に関する留意点などを述べたいと思います。

 

国内社会保険料相当部分として支給される手当は、在籍出向させる場合、海外勤務中でも日本の社会保険料が発生するため、この社会保険料に相当する金額の補てんとして、会社が留守宅手当の中に含め為替変動によるリスクを回避できるよう配慮して円貨建てで支給し、会社はそこから個人負担分保険料を天引きすることになります。

 

国内残留家族対応分として支給される手当は、一部又は全ての家族が日本国内に残留した場合に支給される手当です。

こちらも為替変動によるリスクを回避するため円貨建てで支払われます。この手当は別居を余儀なくされることによる住居費、通信費、留守宅維持費用など日本で生ずる費用に対応する金額となります。

 

税務の取扱いは

留守宅手当の税務での取扱いですが、まず、この従業員が税法上、居住者に該当するのか、非居住者に該当するのか判定する必要があります。

税法上、居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する者とされています。

また、非居住者とは、居住者以外の者とされています。

 

海外赴任の場合、海外赴任期間が1年以上の予定の者は、出国時に非居住者とされます。今回海外派遣する従業員は、5年間の予定で海外赴任しますので、出国時から非居住者に該当します。

 

非居住者は国内源泉所得のみが課税され、国外源泉所得は課税されないこととなっています。

今回支給する留守宅手当は、この従業員が海外で勤務をすることに基因して日本の家族に支給されます。

つまり、国外勤務を基因として行われるので、税法上は国外源泉所得となります。

したがって、この留守宅手当は、非居住者が受ける国外源泉所得となりますので、日本での課税はありません

 

海外で課税される可能性!?

日本で課税されないということで喜んではいけません。

海外勤務地の国で課税される可能性があります。

海外の国では、日本と同様に居住者には全世界所得を課税するという国が多いです。

 

今回の従業員は、日本では非居住者ですが、海外勤務地国では居住者になります。

そのため、海外勤務地国では全世界所得に課税される可能性があります。

この全世界所得には留守宅手当も例外ではないでしょう。

 

そのため、海外勤務地国での税法を調べ、納税が必要な場合は、必ず納税しましょう。

 

ここで、日本法人が直接日本の口座に支払っているのに、海外の税務当局は分かるの?と疑問を持たれる方もいると思います。

海外税務当局は、お金の動きは分かりませんが、留守宅手当制度の存在は把握していて、日本側で留守宅手当の支給がないか執拗に調べることもあります。

そのため、正しく納税しておいたほうが無難でしょう。f:id:supt:20170328170851j:plain

相続・事業承継Vol.7 一般社団法人と相続対策?~相続税の不当減少~(第3回)

一般社団法人と相続対策?

相続・事業承継Vol.7

相続税の不当減少~

 

こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の乾です。

5月になりかなり暖かくなりましたね。

ゴールデンウィークはいかがでしたでしょうか?

5月1日、2日を休まれた方は、9連休だったかと思います。

のんびりできて「また頑張ろう!」となりましたでしょうか。

5月の会計事務所はというと、とても忙しい月です。

GWで日がないのもありますし、日本の会社は3月決算が一番多いのが一番の原因です。

しかし、その流行が最近少し変わってきました。

海外を意識して12月への変更が多くなっているのです。

弊社のお客様もその流れがあります。

会計事務所としては、どちらの月も非常に忙しいので、

この偏りは悩ましい限りです。。。

 

さて、今回は前回の一般社団法人に贈与するスキームで最も注意をしなければならない

相続税の不当減少」とは、について見ていきたいと思います。

 

どのような場合に適用されるのかといいますと、

相続税法相続税法施行令に記載があります。

 

 

まず66条1項を見てみましょう。

『代表者又は管理者の定めのある人格のない社団又は財団に対し財産の贈与又は遺贈があつた場合においては、当該社団又は財団を個人とみなして、これに贈与税又は相続税を課する。

ここでは一般社団法人について書かれていません。

人格のない社団等という団体への贈与があった場合には、

その団体を個人とみなして贈与税又は相続税を課税すること、を規定しています。

 

そして相続税法66条4項です。

持分の定めのない法人に対し財産の贈与又は遺贈があつた場合において、当該贈与又は遺贈により当該贈与又は遺贈をした者の親族その他これらの者と第六十四条第一項に規定する特別の関係がある者相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときについて準用する。

単純に説明しますと、

Aさんが一般社団法人に贈与などをした場合に、

Aさんの親族の相続税や贈与税が不当に減少すると税務署が認めるときには

その一般社団法人を個人とみなして贈与税を課税します、

ということです。

 

しかし、具体的にどのような場合が不当に減少することになるのかは不明です。


そこで施行令33条3項を見てみましょう。

ここに具体的な不当な減少の事例が書いてあるのかというと、そうではなく、

逆接的に“このような場合には不当減少には当たらない”として規定されています。

 

ちょっと長ったらしく難しいので、簡便的に要件をタイトルだけ書きだしてみたいと思います。

役員のうち贈与した本人及び親族が占める割合は全体の1/3以下とすること

贈与した本人及び親族に特別の利益を与えないこと

解散した場合に、残余財産は国等へ帰属する旨を決めておくこと

法令違反をしていないこと

いかがでしょう?たった4つだけです。

しかし、①の要件がハードル高いですよね?

 

つまり、第三者もまじえて公益的な活動(例えば文化的な啓蒙活動、慈善事業など)を行ったり、

業界団体としてその業界のための活動を行うなど、個人の枠を超えた公益活動を行わなければ難しいということです。

 

また、この66条4項が怖いのは、当初はこの4つの条件を満たしていても、

運営を行う中で要件を満たさなくなると不当減少の規定が発動するという点です。

従いまして、設立段階、贈与時点、運営段階において十分な注意が必要となりますし、

個別通達にもっと細かい事が記載されていますので、簡単ではありません。

 

相続税がかからない場合というのは、そう簡単ではないということでした。

 

これでもご興味がある方は弊社までご連絡いただければ全面的にサポートさせていただきます!

 

※参考:施行令33条3

 『贈与又は遺贈により財産を取得した法第六十五条第一項 に規定する持分の定めのない法人が、次に掲げる要件を満たすときは、法第六十六条第四項 の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められないものとする。

一  その運営組織が適正であるとともに、その寄附行為、定款又は規則において、その役員等のうち親族関係を有する者及びこれらと次に掲げる特殊の関係がある者(次号において「親族等」という。)の数がそれぞれの役員等の数のうちに占める割合は、いずれも三分の一以下とする旨の定めがあること。

イ 当該親族関係を有する役員等と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者

ロ 当該親族関係を有する役員等の使用人及び使用人以外の者で当該役員等から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの

ハ イ又はロに掲げる者の親族でこれらの者と生計を一にしているもの

ニ 当該親族関係を有する役員等及びイからハまでに掲げる者のほか、次に掲げる法人の法人税法第二条第十五号 (定義)に規定する役員((1)において「会社役員」という。)又は使用人である者

(1) 当該親族関係を有する役員等が会社役員となっている他の法人

(2) 当該親族関係を有する役員等及びイからハまでに掲げる者並びにこれらの者と法人税法第二条第十号 に規定する政令で定める特殊の関係のある法人を判定の基礎にした場合に同号 に規定する同族会社に該当する他の法人

二  当該法人に財産の贈与若しくは遺贈をした者、当該法人の設立者、社員若しくは役員等又はこれらの者の親族等に対し、施設の利用、余裕金の運用、解散した場合における財産の帰属、金銭の貸付け、資産の譲渡、給与の支給、役員等の選任その他財産の運用及び事業の運営に関して特別の利益を与えないこと。

三  その寄附行為、定款又は規則において、当該法人が解散した場合にその残余財産が国若しくは地方公共団体又は公益社団法人若しくは公益財団法人その他の公益を目的とする事業を行う法人(持分の定めのないものに限る。)に帰属する旨の定めがあること。

四  当該法人につき法令に違反する事実、その帳簿書類に取引の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装して記録又は記載をしている事実その他公益に反する事実がないこと』

 

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その他Vol.6 空き家に係る譲渡の特別控除~必要書類の準備はお早めに~

空き家に係る譲渡の特別控除

その他Vol.5

~必要書類の準備はお早めに~

 

こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の木下です。

 

全国の空き家の数は平成25年時点で820万戸存在するようです。

実家を相続したのはいいが、現状空き家となってしまっている方も多いのでは

ないでしょうか?

 

今週はそんな空き家に関する譲渡所得税がテーマのSUレターです。

 

不要となった空き家を売却したとしても、税金がかからないかもしれません。

今回ご紹介するのは、空き家を譲渡した場合の特別控除についてです。

 

制度の概要

この規定は、亡くなった方が住んでいた空き家及び敷地を相続して、

その後その空き屋や敷地を譲渡した場合に、

その譲渡所得から3,000万円を特別控除することができます。

 

例えば、取得費が不明の空き家と敷地を800万円で譲渡した場合を考えてみましょう。

・この特別控除を使わないと

(800万円-40万円(取得費が不明のため、譲渡価額800万円の5%))×20%=152万円所得税と住民税がかかります。

・これが特別控除を使いますと

(800万円-40万円-3,000万円)×20%=0円所得税と住民税がかからずに売却することができます。

 

ただし、亡くなった方が住んでいた空き家であれば、全て控除の対象となるわけではありません。いくつかの要件がありますので見ていきましょう。

 

空き家の要件

空き家については、

昭和56年5月31日以前に建築されたものであり

・譲渡する際に、耐震性がある必要があります。

耐震性がないものについては、耐震リフォームをして売却するか

空き家を取壊して敷地のみを売却すれば適用を受けることができます。

なお、マンションについては対象外なので注意しましょう。

 

居住の要件

 亡くなった方が相続の開始の直前に住んでおり、それ以外の方が住んでいない

ことが必要です。そのため、亡くなった方が老人ホームに入居している場合は対象となりません

 また、空き家を相続してから譲渡するまでは事業、貸付、居住の用に供することができませんので注意しましょう。

 

譲渡の要件

相続発生日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、平成31年12月31日までの譲渡が対象となります。

また、空き家と敷地の譲渡金額の合計が1億円以内の必要があります。

 

確定申告に向けて

確定申告の際には

・「登記事項証明書等」

・「耐震基準適合証明書等」

・「売買契約書の写し等」の他

・「被相続人居住用家屋等確認書」

が必要となります。

被相続人居住用家屋等確認書」については、空き家の所在地の市区町村に

被相続人居住用家屋等確認申請書」を必要書類と共に提出することにより入手できます。申請書や申請に必要な書類は国土交通省のHPから確認できます。

http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html

申請から交付までには、数週間かからないようですが、住民票や売買契約書など複数の書類が必要となりますので、確定申告で適用される際には、早めに準備されることをお勧めします。

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国際税務Vol.6 台湾ともっと仲良くなれる?~日台租税協定が制定されました~

台湾ともっと仲良くなれる?

国際税務Vol.6

~日台租税協定が制定されました~

 

こんにちは。だんだん春めいてきましたね。

 

島国に住んでいるゆえなかなか気軽に海外旅行、というわけにはいかない日本人ですが、台湾は近いのでお勧めです。帰りは沖縄より近い?と感じるほど。

 

さて今週は日本台湾租税協定がテーマのSUレターです。

 

台湾と日本

親日国で有名な台湾、実際に行ってみると日本語を話せる人が多く、

ほのぼのとした雰囲気でとても居心地の良い国です。

しかしながら日本と台湾には正式な国交がなく、

今まで両国間には租税条約は締結されていませんでした。

 

租税条約締結

しかしこの度、民間レベルで租税条約に相当する内容をもりこんだ租税協定が

2015年11月26日に制定され、2016年6月13日に発効、2017年1月1日より

適用開始されることになりました。

今回この主体となったのは、

・日本側が公益財団法人交流協会

・台湾側が亜東関係協会

という民間団体です。

正式な国家間の条約ではないため、このままでは課税面で何の効力もありません

そこでこの取り決めを租税条約と同等に扱うための日本国内で法整備がなされました

 

租税条約ができる前は…

今までは両国間で二重課税が生じても解消する手段がなかったのですが、

これでようやく可能になります。

国際化社会の現代において、ビジネスにおける二重課税のリスクはたくさん潜んでいます。

 

例えば日本から台湾に出張した場合、日本においては居住者として全世界所得が課税となります。

一方台湾においては90日までは課税なしですが、91日目以降は滞在日数分の給与は非居住者の国内源泉所得として課税されます。

結果的に2つの国で課税されてしまうことになります。

 

これを解消するために、国税額控除制度というものがあるものの、わざわざ確定申告において手続きを取るのは面倒ですね。

 

租税条約の効果

租税条約があれば短期滞在者免税という規定により、

一定日数以下の滞在であれば滞在国の税金が免除されるシステムとなっています。

租税条約が無いということは、今まで日本―台湾間をまたいで仕事をすることの大きな足かせとなっていました。

 

しかし今後は滞在日数が年間183日を超えなければ、

やっと他国と同様に免税の恩恵が受けられることになりました。

これは個人にとってだけでなく、

従業員を派遣する企業にとってもより柔軟な計画が可能となるためメリットとなるでしょう。

 

また配当、利子、ロイヤリティーに関する源泉税率は10%となります(国内法では20%)。

これも両国の経済交流が活発になる要因になるでしょう。

多国籍グループ企業にとってもグループ内の資金調達、管理、技術サービスのやりとりがしやすくなります。

台湾に投資している日系企業が配当を増額しようとするかもしれません。

 

さらに、移転価格課税が行われた際、租税条約を締結していない国が相手だと、二重課税の調整が困難だったのですが、今後は双方の税務当局が移転価格調査を実施した際、相互協議手続により二重課税リスクを低減することが可能となります。

今後はビジネス面においても、どんどん台湾と交流を深めていきたいものです。

 

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相続・事業承継Vol.6 一般社団法人と相続対策?~一般社団法人の活用~

一般社団法人と相続対策?

相続・事業承継Vol.6

一般社団法人の活用~

 

こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の乾です。

4月になり新年度スタートですね。

 

改正された新税制がスタートするため、これから上場会社さんのお客様から少しずつ質問が出てきたりします。

自分の中でもまだしっくりきていない新税制を回答するのは非常に神経を使います。

しかし、人間追い込まれないと何事もできないものです(泣)。上場会社のお客様があるから町の税理士事務所よりは少し早めに身につくのでしょうね。頑張りたいと思います!

 

 今回は、前回の「一般社団法人の概要」

 

supt.hatenablog.com

 

に続き、具体的にどう使っていくかを見ていきたいと思います。

 

相続税対策を考える際に個人の資産を法人に移す方法は昔から使われています。
この法人を、株式会社などではなく一般社団法人で行おうというのが今回ご紹介する方法です。

パターン1

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個人の財産を一般社団法人贈与するパターンです。

贈与して財産が一般社団法人に移れば、

その財産は個人のものではありませんので相続税の対象外となります

 

ここで考えなければいけないことがいくつかあります。

まずは、一般社団法人の性格を2階型の非営利又は共益型としなければ、

一般社団法人側で受贈益が計上され法人税等が課税されます。

 

 

 

次に、移転する資産に含み益がある場合には、

その個人にみなし譲渡所得税所得税法59条)がかかります

この場合個人は対価をもらっていませんが、

法人に時価で譲渡したとして含み益に課税されますので、

移転資産の選定には注意が必要です。

 

そして、一番注意しなければならないのは

個人の相続税、贈与税の不当減少(相続税法66条4項)と判断されないかどうかです。

もしそのように事実認定された場合には、

一般社団法人を個人とみなして贈与税が課される

(同時に課税される法人税は控除されるため二重課税にはなりません)

こともありますので、その設立運営には充分な注意が必要となります。

従いまして、税金を回避したいだけの理由ではかなりハードルの高いスキームとなります。

 

パターン2

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個人の資産を一般社団法人譲渡する方法です。

こちらも移転した財産については、

個人のものではありませんので相続の対象外となる点は変わりませんが、

譲渡であるため対価(金銭又は債権)をもらいますので、

その金銭又は債権についてどうするか、ということはあります。

 

このスキームの場合、一般社団法人基本的に1階、2階型のどちらでも構いません
ここで考えなければいけないのは譲渡価額です。


時価であれば個人側、法人側ともに税務上問題ありません。
時価以外(低額)で譲渡した場合に、

みなし譲渡(所得税法59条)の規定の適用に注意すべきこととなりますし、

一般社団法人側では時価との差額について受贈益課税されることになります。

 

しかし、その一族として継承していきたい財産がある場合などに有効なスキームです。

個人が一般社団法人の持ち分を持たないという特徴から、

移転後については相続税の対象範囲からは外れることになるというのが、

株式会社などを利用する場合とまったく違う点ですね。

 

最近の上場会社の株主を見ていると、一般社団法人○○○といった株主が出てくることも多くなりました。

これはおそらく創業家の株式を持分のない一般社団法人に移しているのだと思われます。

株価が上がっても個人の財産とは無関係となりますから、

相続税のことを気にせず業務に邁進できます。

 

これからは一般社団法人での起業もありかもしれません。

 

最後に、パターン1の「相続税を不当に減少する場合」とは?とひっかかっている方もいらっしゃると思います。

これについては、次回のSUレターでご紹介したいと思います。
  

※SUレター発行日現在の法令により記載しておりますが、将来の改正及び財産評価基本通達6項(この通達の定めによりがたい場合の評価)の適用がある可能性もございます。

(この通達の定めによりがたい場合の評価)

この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する

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その他Vol.5 外国人を雇うときはここをチェック!~知らずに不法就労させてしまったら!?~

外国人を雇うときはここをチェック!

その他Vol.5

~知らずに不法就労させてしまったら!?~

 

こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の新宮です。

 

平成24年7月から新しい在留管理制度が導入されております。

外国人を雇用するときの確認方法が変わっておりますので、確認しておきましょう!

 

さて今週は雇用関係のSUレターです。

知らずに不法就労させてしまっていたら処罰の対象に!?

外国人を雇うときはここをチェック!

 

新しい「在留カード」とは?

これまでの「外国人登録証明書」に代わって、新しく「在留カード」が発行されることになりました。「在留カード」とは、外国人が3カ月以上日本に滞在する権利を証明する許可証と考えれば分かりやすいかと思います。

これは、不法就労を防ぐ目的で導入されたもので、外国人を雇用するときは、必ず「在留カード」の内容を確認します。

 また、在留カードには、偽変造防止のためのICチップが搭載され、カード面に記載された事項の全部または一部が記録されるしくみになっています。

 

こんなケースは不法就労です!

オーバーステイをして働いている場合

 不法就労というと、密入国者をイメージしてしまうかもしれませんが、それだけではありません。そもそも正規の在留資格のある人が、オーバーステイをして働いているケースも不法就労にあたります。外国人の方で在留期間の更新をせず、与えられた在留期限を過ぎてしまっている場合がありますのでご注意ください。

 

②観光や知人訪問の目的で入国した人が働く場合

 これも不法就労になります。また、留学生が許可を得ずにアルバイトをすることも不法就労となります。このように、入国管理局から働く許可を受けずに働くケースは不法就労になってしまいます。

 

③入国管理局から許可された就労範囲を超えて働く場合

 たとえば、外国料理店でコックとして働くことを認められた人が、まったく違う工場で単純労働をしている場合なども不法就労になります。

 

在留カードの確認を怠ると会社にも責任が!?

 外国人を採用するとき、ついつい「在留カード」の確認が後回しになってしまうことがあるようです。たとえ採用した外国人が不法就労であることを会社が知らなかったとしても「在留カード」の内容を確認していないといった過失があると、事業主が処罰を受けることになります。この場合、「3年以下の懲役、または300万円以下の罰金」が科せられることがありますので、雇用する前に必ず「在留カード」を確認しましょう。

国際税務Vol.5 イギリスにおけるこれからのビジネス~EU離脱に伴う税務の影響~

イギリスにおけるこれからのビジネス

国際税務Vol.5

~EU離脱に伴う税務の影響~

 

こんにちは。だいぶ春の気配を感じるようになってきました。

早くお花見に行きたくてソワソワしています!

 

海外を旅していると、いろいろなことを考えさせられます。

改めて日本の良さに気づくこともあれば、深く反省させられることも。

広い世界を見ることによって自分の世界も広がります。

やっぱり日本は狭いです。

若者たちにはどんどん旅に出て視野を広げてほしいと思う今日この頃です。

 

さて今週はイギリスのEU離脱がテーマのSUレターです。

 

ヨーロッパを旅していて思うのは移動の自由の素晴らしさです。

異なる言語を使う国へ電車やバス一本で行け、入国審査もなく、

まるで国内間の移動のように気軽に海外旅行ができるのです。

旅行だけではなく、その自由度は仕事や学校にも及びます。

島国に住む日本人にとっては驚くべきことですが、現地の人たちにとってはそれが当たり前なのです。

自分もEUパスポートが欲しい、と何度思ったことか。

たまたまヨーロッパ旅行中に聞いたイギリスEU離脱のニュースは、

なんてもったいない!というのが正直な感想です。

 

税務面での影響

イギリスがEUを離脱するにあたり、税務面で影響があると言われているのが間接税です。

特に付加価値税(Value Added Tax:「VAT」)や関税は、EUレベルでその制度や枠組みが定められています。

 

関税 について

EU関税同盟はEU域内における物品の自由移動を実現するもので、域内の関税や通関手続きは撤廃されています。

EUから離脱した場合、当然このEU関税同盟からも外れることになるので、

イギリスとEUは外国同士となり、EUとの取引が輸出入とみなされます。

企業にとっては、関税徴収、通関手続きなど煩雑な手間と追加コストがかかることになります。

 

VATについて

VATについては、EU域内のVAT指令により標準税率、軽減税率、免税、

課税タイミング等について共通ルールが適用されており、

イギリスはそれを国内法に反映しているため、大きな混乱が起こることはなさそうです。

ただし、EU加盟国でなくなることで適用されなくなる規則の改定は必要となります。

 

また、EUを離脱することによりEU加盟国との取引が輸出入取引となり、

インボイス手続きや報告手続きが変更される可能性があります。

更にEU各国でVAT課税事業者の登録や納税代理人の任命などが必要になります。

関税と同様に、企業にとっては手間と追加コストを強いられることになります。

 

日本との関連

日本においてイギリスに拠点を持っている企業は意外に多いそうです。

その理由の一つとして、EU加盟国に対し関税を払うことなく貿易をすることが可能だということがあります。

今後はそのメリットが失われるわけなので、拠点の再配置など、

ヨーロッパにおける経営戦略の見直し、検討が必要になってくるかと思います。

その他にもITシステムの変更や、

VAT税率変更の可能性を視野に入れた販売戦略の再検討も必要ですね。

 

海外展開する企業にとって他人事とはいえないこの件、

時間はあっという間に過ぎてしまうので、早急な対応が必要となりそうです。

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相続・事業承継Vol.5 一般社団法人と相続対策?

一般社団法人と相続対策?

相続・事業承継Vol.5

 

 こんにちは。SUパートナーズ税理士法人の乾です。

3月に入りましたね。皆様、確定申告はお済でしょうか?

私自身は医療費控除があるのですが、ギリギリの申告となりそうです。。。

弊社のお客様の確定申告は最終コーナーを回ったところで、

みんな気力で走っています!!

まだお届けできていないお客様はもう少々お待ちくださいm(__)m

 

今回は一般社団法人というあまり聞きなれない法人についてです。

一般社団法人」と聞いて、

「非営利」→「自分は関係ない」と考えた方はぜひ読んでいただければと思います。

 

実は一般社団法人

「非営利事業だけでなく営利事業もできます」

「相続対策にも使える場合があります」

という情報を知らない方は意外と多いのです。

 

どういうことか?

平成27年以降の相続税増税により、

多くの方が個人の財産管理を法人へ移すことを進められています。


 ただし法人に移したからといって、全く相続税がかからないというわけではありません。

その法人への財産の移し方にもよりますが、

たいていはその法人の株式を持っているため、その株式が相続税の対象となります。

 

しかし、一般社団法人(以下SHという)には、その株式(持分)というものがないというのが最大の特徴です。
 したがって、個人から切り離されます

 

弊社でもいくつか事例があります。

・文化的活動を行う一般社団法人

・次世代に引き継ぎたい財産を保有する一般社団法人

・芸術作品を永続的に後世に顕彰するための一般社団法人

などです。

 

不定期とはなりますが、今後複数回にわけて一般社団法人の利用について配信したいと思います。

 

まず第1回目の今回は概要編です。

SHの制度は三階建てに例えられます。

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1階は通常のSHです。こちらは株式会社と同様に法人税が課税されます。

 

2階はSHの定款に下記の要件(紙面の関係上主要なもののみ)を盛り込んだ法人で、

基本的に法人税は課税されず収益事業(34業種)を行う場合にのみ課税されます。
・非営利徹底型の要件
剰余金の分配を行わない旨の定めがあること。
解散したときはその残余財産が国若しくは地方公共団体などへ帰属する旨の定めがあること。

理事の総数のうち特殊関係者が3分の1以下であること。

・共益型の要件
会員の相互の支援、交流などを主たる目的としていること。

解散したときはその残余財産が特定の個人又は団体に帰属する旨の定めがないこと。

理事の総数のうち特殊関係者が3分の1以下であること。

 

3階はSHが内閣府又は都道府県の公益認定を受けた場合です。
こちらは2階と同様に原則法人税は課税されず、収益事業にのみ課税されます。
それ以外にも様々な特典があり、法人税率が15%と低く一定であり、

利子配当などの支払いを受ける場合に源泉所得税が課されない、

収益事業でもうけた場合にもその資金を非営利事業に使うことにより、

法人税が免税とされるなど優遇されています。
その分認定の取得や運営が大変な面があります。

 

これらのうち1階、2階が使えるのです。


次回は具体的にどのように使われているかを見ていきたいと思います。

 

弊社が共著で出している一般社団法人の書籍も第2版が発売されています。

専門家向けのためあまり知られていませんが、読みたい方はご連絡ください。

お送りいたします。

「第2版 事例にみる一般社団法人の活用の実務」発行元:日本加除出版

著者:弁護士 後藤孝典

   司法書士 野入美和子

   SUパートナーズ税理士法人 阿部幸宣、乾潤一、宮崎勝、井手鮎子

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その他Vol.4 修繕費と資本的支出の違いとは?~リフォーム費用はすべて費用となるか~

修繕費と資本的支出の違いとは?

その他トピックスVol.4

~リフォーム費用はすべて費用となるか~

 

こんにちは、SUパートナーズ税理士法人の木下です。

 

 ここ数年、相続税の節税目的でアパートを購入する方が増えているようですね。

特に、最近の超低金利の住宅ローンもあって、購入を検討されている方も

多いのではないでしょうか?

 

今週はそんな不動産税務がテーマのSUレターとなります。

 

アパート経営では様々な経費がかかりますが、その中で特に大きなものが

リフォームなどの修繕費用です。

この修繕費用は、「修繕費」としてすべて費用に計上できるでしょうか?

その修繕の内容によっては、固定資産に計上する必要があるかもしれません。

 

修繕費と資本的支出

その修理や改良、改造等(以下、「修理等」という)がアパートの通常の維持管理のためや原状回復のために行われる場合は、「修繕費」としてその修理等の金額を費用に計上できます。

その修理等によってそのアパートの価値や耐久性が増す場合には、「資本的支出」として、その修理等の金額を固定資産に計上しなければなりません。

(元のアパートと同じように減価償却が必要となります。)

 

例えば、壁紙の張替や破損ガラスの取替えなどは基本的に修繕費となります。

避難階段の取付けなど物理的に付加したものや用途変更による模様替え等改装費用は資本的支出となります。

ただし、資本的支出でも、その修理等にかかる費用が20万円未満の場合や、その修理等がおおむね3年以内の期間を周期として行われる場合は、費用として計上することもできます。

 

形式的に判断

例のように、資本的支出なのかどうか分かりやすいものはいいですが、

実際には、修繕費なのか資本的支出なのか判断に迷うものが多いかと思います。

そういった修繕費か資本的支出なのか明らかでないものについては

その一の修理等の金額が60万円未満の場合やその修理等をした資産の前期末取得価額の約10%相当額以下の場合には全額を修繕費として処理することができます。

 

また、その一の修理等の金額のうち30%相当額その修理等をした資産の前期末取得価額の10%相当額いずれか少ない金額を修繕費とすることもできます。

その場合には、残りの金額が資本的支出となります。

 

具体的な金額で確認しましょう

アパートのリフォームを行い、その修繕等の金額が300万円(壁紙の張替費用           40万円が含まれている。)アパートの前期末における取得価額が1,000万円の場合です。

まず、300万円のうち壁紙の張替費用40万円については、修繕費に該当するため費用となります。残りの260万円については、修繕費に該当するか資本的支出に該当するか実態を見て判断を行います。

明らかでない場合には、260万円は、60万円を超えており、かつ、アパートの取得価額1,000万円の10%相当額100万円を超えておりますので、全額を修繕費にすることはできません。

次に、修繕費260万円の30%相当額78万円と100万円を比べると、78万円が少ないです。

したがって、78万円を修繕費として計上し、残額の182万円が資本的支出として計上することができます。

 

 

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国際税務Vol.4 備えあれば憂いなし~移転価格税制の文書化についてのルール~

備えあれば憂いなし

国際税務Vol.4

~移転価格税制の文書化についてのルール~

 

こんにちは。寒い日々が続いていますが体調を崩されたりしていないでしょうか。

春を待ちわびながら、冬の澄んだ空気の心地良さに浸る今日この頃です。

 

さて今週は移転価格の文書化がテーマのSUレターです。

 

移転価格税制の歴史

 海外展開をしている企業なら留意しなければならない移転価格税制ですが、

アメリカにおいてはその歴史は古く、1920年頃から規定が存在し、

それ以来着々と法整備が行われてきました。

 一方日本における歴史はあまり長くなく、1986年の税制改正により初めて導入されました。

1980年代後半にアメリカの税務当局である米国内国歳入庁(IRS)が、

アメリカに進出した日本の自動車メーカー等をターゲットとして移転価格課税を次々と行い、次第に日本における認知度が広まってきました。

 

長い歴史の中で効率的に整備されたアメリカの移転価格税制に比べ、

創設当初の日本の移転価格税制はいろいろと不備な面も多く

その不備の一つが文書化に関するものでした。

 

文書化について

 今までも移転価格の検証にあたって必要な資料の提出は求められていましたが、

どのような書類を具備したらいいのかが明確になっておらず、対応に苦慮する企業が多いのが実態でした。

とりあえずはアメリカの例に倣い揃えてみたものの、

当局からは「これではだめだ」と言われ、じゃあどうすればいいの!という混乱があったことも。

2016年度にようやく租税特別措置法が改正され、具体的に準備すべき文書が明確化されました。

また、それと同時に求められた資料の提出がない場合には推定課税を行うことができるとされました。

 

具体的な文書化の内容

その内容ですが、大きく分けて

1 国外関連取引の内容を記載した書類

2 独立企業間価格を算定するための書類

から成ります。

 

1 について主だったものを挙げると、

・国外関連取引に係る資産の明細や役務提供の内容

・国外関連取引当事者が果たす機能や負担するリスク

・国外関連取引を行う無形資産の内容の説明

などとなります。

 

2については、肝心の独立企業間価格に関するものなので重要なポイントとなります。算定は最適な方法「ベストメソッド」に基づいて行う必要があり、

1で記載した事実関係を基に選定し、その理由を記載する必要があります。

どの算定方法を採用するかによって結果もかなり変わってくるので慎重に検討し、

税務当局からの反論があっても、十分に説明可能な状態にしておかなければなりません

 

具体的な算定はデータベースを用いる場合が多く専門知識及び高額な使用料が発生することから納税者だけでの対応が非常に困難です。

必要に応じて専門家のサポートを得るのが効率的な運用になるかと思います。

 

移転価格調査は扱う金額が大きいこともあり、

当局と納税者の熱気すさまじい修羅場が繰り広げられることも

 

しばしばです。

理不尽な課税を受けないためにも、事前に入念な準備を行っておくことが求められます。f:id:supt:20161028181456j:plain